同じようなミスが続き、つい本人を責めてしまう
メンバーのミスは、やる気の問題ではない|原因を「仕組み」で見る理由
私のチームはカスタマーサクセス(CS)です。契約してくれたお客様と毎月打ち合わせをして、成果が出るように支え、契約を続けてもらう仕事をしています。
ある週、お客様との間でうまくいかないことが立て続けに起きました。
- 打ち合わせの当日になって、こちらから日程の変更をお願いした
- お客様から「もう少しこまめに連絡がほしい」と言われてしまった
- お客様から解約の相談があったのに、担当者がチームに共有していなかった
- 担当が変わったときに、前の担当者がお客様とした約束が引き継がれていなかった
一つずつ見ると、どれも「気をつけていれば防げた」ように見えます。だからこそ、つい本人の注意不足ややる気の問題にしたくなります。
原因はメンバーの気持ちではなく、チームに「決まり」と「仕組み」がなかったことでした。誰かを責めるのをやめて、「仕組みがあれば防げたか」を確かめるようにしてから、同じミスが減っていきました。
- ミスを「やる気の問題」と見ると、なぜ繰り返すのか
- 4つのミスそれぞれに、足りなかった仕組み
- 謝罪より先に報告してもらうこと、1on1での聞き方
「やる気の問題」にすると、ミスは繰り返す
責めても、別の人が同じことをする
本人を注意すれば、その人はしばらく気をつけるでしょう。でも、仕組みが変わっていなければ、同じミスは別のメンバーが起こします。
チームミーティングでは、この4つを全員の前に並べたうえで、最初にこう伝えました。「誰かを責める話じゃない。仕組みがあれば防げたかを確認したい」。
謝罪では、再発は防げない
ミスをしたメンバーは、まず謝ります。でも、謝られても次のミスは防げません。
上司に指摘されて変えたのが、謝罪より「原因・次の計画・担当」を報告してもらうことです。なぜ起きたか、次はどうするか、誰がやるか。この3つが分かれば、仕組みを変えられます。
足りなかった仕組みと、変えたこと
4つのミスを一つずつ見ていくと、どれも「決まり」か「仕組み」が抜けていました。
| 起きたこと | 足りなかったもの | 変えたこと |
|---|---|---|
| 当日に日程変更をお願いした | 前日に予定を確かめる決まり | 期日の前日に確認する。前日に自動で通知が来るようにした |
| 「こまめに連絡がほしい」と言われた | お客様に報告を送る期限 | 打ち合わせの議事録は24時間以内に送る |
| 解約の相談を共有しなかった | 共有のルール | 解約の気配を感じたら、すぐ全員に共有する |
| 引き継ぎで約束が消えた | 約束を残す場所 | お客様との約束は、顧客管理のシステムに残す |
ここで決めたことは、そのままチームの「当たり前リスト」になりました。決め方は当たり前リストの記事で詳しく書いています。
同じことを2回言ったら、チェックリストにする
もう一つ決めたのが、同じ注意を2回したら、口で言うのをやめてチェックリストにすることです。2回言うということは、言葉だけでは定着しないということだからです。
1on1での聞き方も変えた
以前は1on1で「最近やる気はどう?」と聞いていました。でも、この質問にはメンバーも答えようがありません。
今は次のように聞いています。
| 以前の聞き方 | 今の聞き方 |
|---|---|
| 最近やる気はどう? | どれが守れなかった? |
| 次は気をつけてね | 何があれば守れる? |
「何があれば守れるか」を聞くと、メンバーの方から仕組みの案が出てきます。それを採用すれば、メンバーにとっても「自分で決めた仕組み」になります。
まとめ
- 同じようなミスが続くとき、原因はたいていやる気ではなく仕組みの側にある
- 本人を責めても、同じミスは別の人が起こす
- 謝罪より、原因・次の計画・担当を報告してもらう
- 同じ注意を2回したら、チェックリストにする
- 1on1では「どれが守れなかったか」「何があれば守れるか」を聞く
よくある質問
- ミスをした本人に責任はないのですか。
- 責任がないわけではありません。ただ、本人を責めても、同じミスは別の人が起こします。再発を防ぐには、誰がやっても起きない仕組みに変える方が効きます。
- 仕組みを作る時間がありません。
- 大がかりな仕組みは要りません。「期日の前日に通知が来る」「同じ注意を2回したらチェックリストにする」くらいの小さなものから始められます。
- 謝ってくるメンバーにはどう返せばいいですか。
- 謝罪よりも、原因と次の計画、担当を報告してもらうようにしています。謝られても再発は防げませんが、原因が分かれば仕組みを変えられます。