メンバーのやる気に波があって、行動が続かない
やる気は毎日は続かない|チームで「当たり前」を5つだけ決めた理由
内定者の懇親会に呼ばれて、自分の入社からの歩みを話す機会がありました。
半年後に入ってくる新卒の子たちは、とにかくフレッシュでした。といっても、テンションが高かったわけではありません。言われたことを、素直に、誠実にやろうとする姿勢がまぶしかったのです。
自分のチームに戻って考えました。入社して数年たつと、当たり前のことが当たり前にできない日が出てきます。そしてそれを「今日はやる気が出ない」で片づけてしまう。
チームの行動を、やる気で支えるのをやめました。代わりに**「やる気がない日でも守れる当たり前」を5つだけ、メンバー全員で決めました**。結果を決めるのは気持ちではなく、毎日やっていることだからです。
- やる気に頼るチームが、うまくいかない理由
- 当たり前リストの選び方と、実際のたたき台
- 守れたかを確かめる仕組みと、1on1での聞き方
やる気は、毎日は続かない
人のやる気には波があります。体調、私生活、担当しているお客様の状況。理由はいくらでもあります。
私のチームはカスタマーサクセス(CS)で、契約してくれたお客様と毎月打ち合わせをして、成果が出るよう支える仕事です。**お客様から見れば、担当者のやる気は関係ありません。**やる気がない日にも、約束は守られている必要があります。
行動科学の研究者B・J・フォッグは、著書『Tiny Habits』の中で、やる気は当てにならないものだと述べています。やる気が高い日にしかできない行動は、続きません。
結果は「毎日やっていること」で決まる
もう一つ参考にしたのが、ジェームズ・クリアの『Atomic Habits』の考え方です。目標は行きたい場所を決めるもので、そこへ連れていくのは毎日の仕組みだ、というものです。
私のチームの目標は「解約ゼロ」です。でも、同じ目標を掲げるチームは他にもあります。差がつくのは目標の高さではなく、毎日やっていることのほうです。
当たり前リストの決め方
選ぶ基準は「やる気がない日でも守れるか」
大きすぎるルールは続きません。「毎日お客様に新しい提案をする」は立派ですが、やる気が低い日には守れません。それでは当たり前になりません。
だから基準は一つだけにしました。やる気がない日でも守れるかです。
実際のたたき台
チームミーティングで、私が出したたたき台は次の5つです。
| 当たり前 | なぜ必要か |
|---|---|
| 議事録は24時間以内に送る | 時間がたつほど、お客様との認識がずれる |
| 持ち帰った宿題は、当日中に「いつまでにやるか」を返す | 期日のない約束は忘れられる |
| お客様との約束は、顧客管理のシステムに残す | 担当が変わっても約束が消えないようにする |
| 解約の気配を感じたら、すぐ全員に共有する | 一人で抱えると手遅れになる |
| 期日の前日に確認する | 当日に気づいても間に合わない |
どれも「やればできる」ことです。だからこそ、やる気の波に左右されずに守れます。
最後はメンバーと決める
たたき台は私が出しましたが、最終的な5つはメンバーと20分ほど話し合って決めました。
自分たちで決めたルールは、渡されたルールより破りにくくなります。「マネージャーに言われたから」ではなく「自分たちで決めたから」守る。この状態を作りたかったからです。
守れたかどうかは、仕組みで見る
ルールを決めても、守れたかを確かめなければ形だけになります。ここも、やる気ではなく仕組みに任せました。
- 自動の通知:新しいお客様の最初の打ち合わせが入っていない、期日が明日に迫っている、といったことをチャットに自動で流す
- チェックリスト:同じことを2回注意したら、口で言うのをやめてチェックリストにする
- 1on1での聞き方:「最近やる気はどう?」ではなく「どれが守れなかった?何があれば守れる?」と聞く
とくに1on1の聞き方は大きく変えました。「やる気はどう?」と聞かれても、メンバーは答えようがありません。「どれが守れなかったか」なら、具体的に振り返れます。
小さな達成は、ちゃんと祝う
フォッグは、小さな成功をその場で祝うことが、習慣づくりで一番大事だとしています。
当たり前リストは「できて当たり前」のことばかりです。だからこそ、守れたことを見過ごさず、言葉にして認めるようにしています。それが次の習慣につながります。
まとめ
- やる気には波がある。お客様から見れば、担当者のやる気は関係ない
- 結果を決めるのは目標の高さではなく、毎日やっていること
- 当たり前リストは「やる気がない日でも守れるか」で選び、5つに絞る
- たたき台はマネージャー、最後はメンバーと一緒に決める
- 守れたかは仕組みで見る。1on1では「どれが守れなかったか」を聞く
参考文献
- B・J・フォッグ『Tiny Habits』
- ジェームズ・クリア『Atomic Habits』
よくある質問
- 当たり前リストは何個がいいですか。
- 私のチームでは5つにしました。多すぎると覚えられず、守れたかどうかを振り返るのも大変になります。まずは少なく始めて、定着したら入れ替えるのがおすすめです。
- マネージャーが決めて渡してもいいですか。
- たたき台はマネージャーが出しても構いませんが、最後はメンバーと一緒に決める方が守られます。自分たちで決めたルールは、渡されたルールより破りにくいからです。
- 守れなかったメンバーはどう指導しますか。
- 責めるのではなく「どれが守れなかったか」「何があれば守れるか」を聞きます。守れない原因は、たいてい気持ちではなく仕組みの側にあります。