マネージャーになった途端、メンバーが辞めていく
マネージャーになった直後、メンバーの退職が続いた|4か月でチームを立て直すまでにやったこと
マネージャーになったのは、入社して2年たったころでした。リーダー、アシスタントマネージャーと上がってきて、任される範囲が広がるのが楽しかった時期です。
ところが、マネージャーになったその月から、チームのメンバーが一人、また一人と辞めていきました。入社してから一番モチベーションが下がった時期です。
立て直しのきっかけは、残ったメンバーと**「どんなチームならいいチームか」を言葉にし直したこと**でした。出てきた理想と今の姿の差は「話す機会がない」ことだったので、挨拶・呼び方・ランチといった、会話が生まれる小さな仕組みから変えました。退職が続いてから4か月ほどで、チームは同じ目標に向かって走れるようになりました。
この記事は、カスタマーサクセス(CS)のチームを持つ若手マネージャーの記録です。CSは、サービスを契約してくれたお客様と定期的に打ち合わせをして、成果が出るように支え、契約を続けてもらう仕事です。
- マネージャー就任直後に退職が続いたとき、チームで何が起きていたか
- メンバーと「いいチーム」を定義し直した方法
- 立て直しのために実際に変えた、小さな仕組み
退職が続いたとき、チームで起きていたこと
辞めていった理由は人それぞれで、私の口から一言でまとめることはできません。ただ、残ったメンバーと話していて分かったことがあります。
チームの中で、お互いのことをほとんど知らなかったのです。
CSの仕事は、一人ひとりが自分の担当のお客様を持ちます。打ち合わせも報告も基本は一人で進むので、気をつけていないと隣の席の人が何に困っているのか分かりません。メンバーからは「出社しているかどうかも分からない」という声まで出ました。
しんどいときに声をかけ合える関係がないまま、人が抜けて一人あたりの担当が増えていく。これが当時のチームでした。
メンバーに「いいチーム」を定義してもらった
立て直すにあたって、私が理想のチーム像を話すのはやめました。代わりに、チームミーティングで**「どんなチームなら、いいチームだと思う?」**とメンバーに聞きました。
出てきたのは、次のような答えです。
- 何でも言える。刺激し合える
- しんどいときに声をかけ合える
- 教え合い、助け合える
- 笑顔と元気がある
続けて「今のチームはできている?」と聞くと、ほとんどが「できていない」でした。できていない理由として挙がったのは、コミュニケーションが足りない、お互いの仕事に関心が薄い、話す機会がない、フィードバックの場がないの4つです。
理想も原因も、メンバー自身の言葉で出てきたことが大事だったと思います。マネージャーから「もっと助け合おう」と言われるのと、自分たちで「助け合えていない」と気づくのとでは、その後の動き方がまったく違います。
会話が生まれる仕組みを、小さく作った
原因が「話す機会がない」なら、話す機会を作ればいい。そう考えて、その場でメンバーと次のことを決めました。
| 決めたこと | ねらい |
|---|---|
| スローガンは「明るく・ニコニコ・大きな声」 | まずは挨拶から。来ているかどうか分からない状態をなくす |
| 苗字ではなく、名前やあだ名で呼び合う | 呼び方ひとつで、話しかけるときの壁が下がる |
| 2週間に1回、ルーレットでペアを決めてランチ | 普段話さない人とも話す機会を作る |
| 月に1回、チームで飲み会 | 雑談も仕事のうち。仕事以外の話ができる関係を作る |
どれも、マネジメントの本に載っているような立派な施策ではありません。でも、やる気や性格に頼らず、決めた日に必ず会話が生まれることが大事でした。
スローガンを決めたときに約束したのは、まずマネージャーの私が誰よりも大きな声で挨拶することです。決めた本人がやらないルールは、すぐに形だけになります。
同じ目標に向かって走れるようになった
会話が増えてくると、チームの中で「この案件、更新が近いけど大丈夫?」「そのお客様、前に似たケースがあったよ」という声が自然に出るようになりました。
人が減ったピンチを経て、チームは**「解約ゼロ(チャーンゼロ)」**という一つの目標に向かって、本気で走れるようになりました。退職が続いたのが1月、チームがまとまったと感じたのは5月ごろです。
その後に気づいた「売る」より大事なこと
立て直しのあと、もう一つ大きく考えが変わったことがあります。
私はずっと、売ることが正しいと思っていました。CSでも、追加の提案(アップセルやクロスセル)を決めることが成果だと考えていたのです。
その考えが変わったのは、マネージャーになって1年近くたった秋のことです。CSの場合、お客様の満足の先に、売上や目標の達成がある。順番が逆だったと気づきました。満足していないお客様に追加の提案をしても、次の更新で解約されてしまいます。
今は、追加の提案も以前より決まるようになり、解約ゼロにも近づいています。入社してから今が一番、仕事が楽しいと感じています。
振り返って、1年目の自分に言いたいこと
チームを立て直す途中で、ずっと意識してきたのが**「失敗は学びの機会」**という考え方です。退職が続いたことも、振り返れば失敗から学ぶ機会でした。
もう一つは、自分で抱えすぎないことです。プレイヤーとして数字を持ちながらマネージャーをしていると、目の前の業務を自分で片づけたくなります。でも、それだけではチームは伸びません。信頼できるメンバーに任せる範囲を広げることを、今も試行錯誤しながら続けています。
まとめ
- マネージャー就任直後に退職が続いた。残ったメンバーと話すと、お互いのことをほとんど知らないチームだった
- 理想のチーム像はマネージャーが語らず、メンバーに定義してもらった
- 理想との差は「話す機会がない」こと。挨拶・呼び方・ランチ・飲み会など、会話が生まれる小さな仕組みを作った
- チームがまとまったあと、「売る」より「お客様の満足」が先だと気づいた
- 失敗は学びの機会。自分で抱えすぎず、任せる
よくある質問
- メンバーの退職が続いたとき、最初に何をしましたか。
- 残ったメンバーに「どんなチームならいいチームだと思うか」を聞きました。マネージャーが理想を語るより先に、メンバー自身の言葉で目指す姿を出してもらうことから始めました。
- 挨拶や呼び方のような小さなことで、本当にチームは変わりますか。
- それだけで変わるわけではありません。ただ、私のチームでは「話す機会がない」「隣の人が何をしているか分からない」が壁になっていました。壁の正体が会話の少なさなら、まず会話が生まれる仕組みを作るのが一番早いと考えました。
- プレイヤーとしての数字とチーム作りは、どう両立していますか。
- 正直、今も試行錯誤しています。意識しているのは「自分で抱えすぎない」ことです。信頼できるメンバーに任せる範囲を広げて、チーム全体で前に進めるようにしています。